東京の自宅に戻る。窓を開け放して厖大な量の洗濯物を干していると、風が涼しく感じられる。この小さい部屋を守っている自分は、沖縄のやどかりと同じだなと思いつつ、結局わたしはあの場所で、この場所でこうする毎日の『つづき』を考えていた気がする。沖縄の海はあまりに美しすぎ、故郷の灰色の海と比較して、随分とまた寂しい所で育ったものだ、と自身の環境を振り返らずにはいられなかった。海、という言葉のひとつにも、これだけの色の開きがあるのだから、字の広大無辺な世界を歩く為に、もっと沢山の事を知らなければ、と考えた。故郷も続いていく、沖縄も続いていく、あそこで会った人達もずっと続いていく。
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