相棒は今日からクランクイン。薄暗い早朝から出かけていった。無事に撮影が済んで欲しいと祈るばかりだ。
朝、布団の娘を叩き起こしてご飯を食べさせ、雨が降るかなと傘を持たせて送り出した。朝ご飯の続きを食べていたら、五分と経たずに帰ってきた。忘れ物かとかけ寄ったら、娘はぼんやりと、今日学校がなかった、と言う。カレンダーを見ると、敬老の日だ。道を歩いていたら、知らない年配の女性から「あら、今日は学校あるの?」と声をかけられたとのこと。祝日だったのか……。親もぼんやりする。これは親子でかなり恥ずかしい。
娘と二人でいきなり休日になってしまったので、近場の駅に一緒に出かけて、娘の好物のドーナツを珍しく買って、お詫びの代わりにしてもらった。
朝、布団の娘を叩き起こしてご飯を食べさせ、雨が降るかなと傘を持たせて送り出した。朝ご飯の続きを食べていたら、五分と経たずに帰ってきた。忘れ物かとかけ寄ったら、娘はぼんやりと、今日学校がなかった、と言う。カレンダーを見ると、敬老の日だ。道を歩いていたら、知らない年配の女性から「あら、今日は学校あるの?」と声をかけられたとのこと。祝日だったのか……。親もぼんやりする。これは親子でかなり恥ずかしい。
娘と二人でいきなり休日になってしまったので、近場の駅に一緒に出かけて、娘の好物のドーナツを珍しく買って、お詫びの代わりにしてもらった。
今週末は自宅に残る。夕方、娘が小学校の花火大会に喜んで出かけていった。今更花火大会があるのは、夏に雨天延期になっていたからだ。真暗になってから、保護者の自分も後を追った。
校庭に行くとすでに大勢の大人が集まっていて、子供達はみな蛍光色に光る腕輪をつけて遊んでいる。赤、青、黄、紫、虹のように無数に光って、色のついた螢が飛び交うようだ。我が子の姿を探すが、顔もよく見えない。コンタクトをくらげに替えてから、乱視の矯正が甘いのか焦点が合いにくい。替えた意味がないよと、あきらめて目をこすっていたら、黄色の光をつけた娘が、緑色の光をつけた友達と追いかけっこしているのを、やっと見つけた。
不意にどーんと音がして、家庭用と大会用の中間くらいの花火が、ぱんと破裂した。連続する光がたちまち校庭を明るくする。小ぶりだけど、綺麗だ。空を覆う花火は二重、三重に見えて、時が経つのを忘れてみとれた。
校庭に行くとすでに大勢の大人が集まっていて、子供達はみな蛍光色に光る腕輪をつけて遊んでいる。赤、青、黄、紫、虹のように無数に光って、色のついた螢が飛び交うようだ。我が子の姿を探すが、顔もよく見えない。コンタクトをくらげに替えてから、乱視の矯正が甘いのか焦点が合いにくい。替えた意味がないよと、あきらめて目をこすっていたら、黄色の光をつけた娘が、緑色の光をつけた友達と追いかけっこしているのを、やっと見つけた。
不意にどーんと音がして、家庭用と大会用の中間くらいの花火が、ぱんと破裂した。連続する光がたちまち校庭を明るくする。小ぶりだけど、綺麗だ。空を覆う花火は二重、三重に見えて、時が経つのを忘れてみとれた。
朝、なるべくきちんと身支度して家を出る。A駅の雷門周辺で、人力車の車夫の方に取材する日で、仕事で人と会うというのに、自分の名刺を忘れて戸口で引き返した。主婦ぼけしているみたい。
レトロな事務所を訪問して、女将さんと名刺を交換した。豪華な引き車に観光客を乗せて一定の名所コースを案内するお仕事で、その店では20名ほどの車夫を抱えていた。現役の方にもお話を伺ったが、足は筋肉のかたまり、身体は真黒に日焼けして、衣装も脱いでも機敏そうだった。雨で濡れながら車を引くのも車夫の心意気、と笑いながら言っていた。大半の方は地方出身者で、この仕事に就くと皆、性格が江戸っ子になっていくとのこと。
基本的に情緒を大切にされる商売のようで、あまり楽屋裏のような変な話は……と女将さんの話、どういう風に書いたらいいかなと考えながら、御礼を言って事務所を出た。私は仕事の話を人から聞くのが好きだ。昔から働く人の話を判らないままに聞くのが好きだった。書き物仕事をしていて、良かったなと思うのはこんな時だ。
レトロな事務所を訪問して、女将さんと名刺を交換した。豪華な引き車に観光客を乗せて一定の名所コースを案内するお仕事で、その店では20名ほどの車夫を抱えていた。現役の方にもお話を伺ったが、足は筋肉のかたまり、身体は真黒に日焼けして、衣装も脱いでも機敏そうだった。雨で濡れながら車を引くのも車夫の心意気、と笑いながら言っていた。大半の方は地方出身者で、この仕事に就くと皆、性格が江戸っ子になっていくとのこと。
基本的に情緒を大切にされる商売のようで、あまり楽屋裏のような変な話は……と女将さんの話、どういう風に書いたらいいかなと考えながら、御礼を言って事務所を出た。私は仕事の話を人から聞くのが好きだ。昔から働く人の話を判らないままに聞くのが好きだった。書き物仕事をしていて、良かったなと思うのはこんな時だ。