忍者ブログ
人間になればよかった...
[1] [2]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

相棒と電車に乗ってI駅へ行く。映画『レスラー』を観た。劇場にはお客さんが沢山並んでいて盛況だった。ミッキーロークの風貌は、全盛を過ぎたレスラーという設定に対し充分に説得力があって、物語への感情移入を妨げるものがなかった。汚く着古したベストも、分厚い背中も本物に見えた。このディテールのきめ細かさ、それだけで圧倒された。
私はプロレスファンとは言えないけれど、立ち上がれない選手の頭部を蹴り続けるようなレスラーの不気味な二面性、暴発する性格、リングを離れている時の普通以上の人の良さを、とても興味深く思う。レスラー的としか言いようがない人達だ。何故?と人に聞かれても、答えに窮するに違いない心性。監督は主人公を通して彼等の言い難い思いも上手に代弁していたように思う。
また、日本でプロレスを嫌っていない方達なら皆そうだったと思うけれど、私も、最近日本で亡くなったプロレスラーのM沢さんを直接に連想した。偶然公開時期が重なった事も、何か残酷な縁があったのかと思わずにはいられない。
映画の方は、中盤まではリング外ではつつましく暮らしているレスラーの日常が、ややコミカルに表現される。後半、心臓を病んだのちは、主人公の非というよりは、用意された死に追いやる為に、人物達の諍いがあったようで、何かせつない。
PR
雪がみぞれになって降る珍しい日。夕方に娘を相棒に預けて、大都会S駅にある成人指定映画館へ初めて出かけた。元同期のMくんが書いた作品が映画化されて、今日はその初日だった。裸の女性が大写しになった看板の間をくぐって階段を降りていくと、がらんと静まりかえったロビー、数人の男性がゆっくりと歩いている。暗い劇場に入るのは正直勇気がいったが、Mくんがついていてくれたので随分心強かった。
映画は音響設備があまり良くなくて、聞き取りにくいシーンが幾つかあったが、画だけでも大体概要はつかめた。ピンク映画でありながら宗教的奇跡を題材にして、扇情的というよりは清らかな印象さえあった不思議な作品だったと思う。しかし人は、どうして人はこんな苦しい思いをして生きているのだろう、という疑問が、個人的な疑問が頭を巡っていた。私にとっては性交にうち震える二人のラストも罪を思わせるものでしかなかった。
Mくんはもっと殺伐とした世界観で描いていたそうだが、映画の印象はかなり柔らかいもので、監督の計算がどのように働いたのかも興味深かった。来月の月刊シナリオに掲載されるそうなので読んでみようと思う。
朝、相棒と電車を乗り継いで、S駅の映画専門学校へ行く。学生の作った実習映画を観に行った。講師の付き添いのない、全部自分たちで責任をとる初めての作品だそうだ。相棒や私が関わった訳ではないけれど、ゼミ長が私達の映画を観に来てくださいと連絡をくれたのだった。本当に嬉しくて、目をしっかり開けてもらさず観ようと思った。
作品は学生のオリジナルで、道端で野糞をする青年と、それをボコボコに殴って制裁する正義の仮面の、現実と夢の交差したシニカルなものだった。正義とは一方的に独善を振りかざすこと、と結論づけて、そこらへんの通行人に胴上げされて映画は終わるのだが、不条理感も、カタルシスも、寂しさもなかった。先入観なく眺めていたなら、私はこの映画をきっと不気味に感じたと思う。
気が付いたことが二つあった。監督のUくんはたぶん映画を手本にして映画を作っていなかった。紙の漫画や音の音楽と同系列で、画でストーリーを並べていた。もう一つ、この映画はたぶん正義論ではない。もとは正義論であったものが表現者論へとすり替わっていったのだろう。優れた表現者に対する敬意や羨望があり、それを思うことが現状の自分の卑小さへと直接繋がっている。そういう別の話のラインが混ざった。だから、正義の話としてなら不気味でも、表現者になる覚悟としてなら、なんとなく意が伝わった。
実際はどうだったのだろうか。Uくんとゼミの皆の健闘を心から祈っている。
クリスマスだ、世界中の人の思いが渦巻いているこの夜だ。暗い部屋で一人であてのない日記を書いて、これから眠っている娘の枕元に、プレゼントを置いてくる。これも生涯つきつづける、嘘の仲間なのだろう。
窓の外は、ほのかに発光している。
残ったおでんで朝ご飯。
10月に一緒に徹夜した学生達の映画が完成して、今日発表会だった。相棒と朝一で出かけ、他ゼミの作品も含めた八作品をすべて観た。指導したゼミの作品は、学生の仕掛けた多くの伏線が地表まで出てこられなくて、謎かけのように無愛想になった箇所が多多あり、もっと高い所まで飛べたのにと非常に惜しまれた。
ただ、学生は土を耕すところからやってみたのであり、報われない労力のようでも、徹底して考える事をよくやっていた。努力の方向は間違っていなかったと自分には思われた。話したい事は山のようにあったが、家に娘を残して打ち上げ会へは参加出来ず、言葉足らずのお別れを言、電車を乗り継いで帰ってきた。
関わりが持てて良かったと思えたゼミの皆だった。
脚本を手伝ったゼミの作品の途中経過を見に、相棒と一緒に専門学校へ行く。後一週間で完成、上映会という忙しいところ、椅子を借りて、皆に混じって作りかけの映画を観せてもらった。学生は作業に疲れきっているように見えた。本当に繰り返し考え続けるのだから、慣れないうちは大変だ。最後まで頑張って欲しいなと思う。
夜、茨城へ。とたんに、静か過ぎる時間の真ん中にやってきた。
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
最新記事
(02/27)
(02/26)
(02/25)
(02/24)
(02/23)
(02/22)
プロフィール
HN:
北海のあざらし
HP:
性別:
女性
ブログ内検索
カウンター
携帯用
アクセス解析
Powered by ニンジャブログ  Designed by ゆきぱんだ
Copyright © 三本指日記 All Rights Reserved
忍者ブログ / [PR]